不思議な話⑤ 完結

2020年01月29日

 

自宅のエントランスに着いた友人から着信がありました。

友人「到着した。引っ越し会社からの荷物が20個ほどある。」

  「どうしたらいい?」

  困惑と嫌悪そんな感じが伝わってきます。

私 「では、上から順番でいいからひとつづつ開けてくれ。」

  「そのまま、送り返すから丁寧に扱って。」

 

一つ目、二つ目と何事なく進みます。

私 「(そろそろかな?) これからいう事に注意して作業を続けて。驚いて声を出さないようにね。」

  「あのね、人間の髪の毛、爪、皮膚の一部、あるいは体液(唾・尿・血液等)が無いか注意して。」

  友人が五つ目の荷物を開けたときでした。

友人「(短く)ヒッ⁉」と声を出しました。

私 「何があった。」

友人「か、髪の毛が大量に入っている。」

     見てすぐに、人口物ではなく今切ったのではないかと思えるような髪の毛でした。

   友人は後日、髪の毛が生きているように見えたと言ったことが印象的でした。

 

私はこの時に、腹をくくりました。

友人を助けるなら、会う必要があると判断しました。

ただ、私には“祓う”ことはできません。

場合によりますが、強制的に引いてもらいます。

 

友人には、落ち着くように言い丁寧に箱を閉めて、

引っ越し業者に戻すように依頼してもらいました。

 

友人には、終わったら話をするから今は詳しく知ろうとしないでくれと伝えて

その日は、マンションではなく実家に戻り休むようにしてもらいました。

 

 

私は「動物霊(よく言う狐憑き)か、色魔のたぐいか。」

判断を誤りたくないので、知り合いの信頼できる霊能者(以下、先生)に連絡しました。

私は知りうる限りの情報をお伝えしました。

先生「すこし厄介な相手かもね。私が行くまで待てないかい?」

私 「先生、多分この一両日に片づけないと友人が危ない。」

  「先日の荷物に友人が触れたことで、“あれ”はこちらに気が付います。」

先生「わかった。気を付けるんだよ。逃げる事を優先的に考えて。」

  「危ないと感じたら、迷わず逃げなさい。」

  先生の言う「危ない」について、もし“憑き物”であれば本人の持つ握力が20キロなら×5倍くらいの力を

  発揮します。骨が砕けようが、限定解除状態のものを相手にすることになります。

 

私は、先生との話が終わると友人に連絡し彼女の居場所を聞いて明日

そこへ行くことを伝えました。

 

翌日のことです。

私は、その場所へ向かいました。

2か所行きましたが、出会えません。

こちらに気が付いているので、かなりの用心とアンテナを張っていました。

友人にも連絡しましたが、そちらに現れることはありませんでした。

 

先生とも連絡を取り、相談の結果

しばらく友人の近くで、様子を見ることになりました。

友人には、2か月間ほど朝、夕の定時連絡をお願いしました。

 

それから半年が過ぎました。

何もありませんでした。

「逃げることはないと思うと、見逃してくれたのか…。」

真相は闇の中です。

 

それでもある日、二人が知り合った取引先に友人が伺ったときでした。

彼女がいました。

角を曲がって出会い頭に、ばったり。友人はぶつかりそうになり

思わず、「ごめんなさい」と謝りました。

彼女だとはわからなかったのです。

 

すると彼女は「ん?大丈夫です」っという顔付で、軽く会釈したそうです。

そして明らかに知らない人を見つめる顔でした。

顔付は、あの知り合った頃そのものだったと。憑き物が落ちるとはこのことかと言うほどに。

 

友人は、動悸が収まらないことを悟られないように

その場を離れました。

それ以降担当を変わってもらい、再び訪れることはなかったそうです。

 

この話は、ここまでです。

このさらに半年後に、友人に話してみたところ何も覚えておりませんでした。

詳しく話すことを約束しておりましたが、伏せることにしました。

 

あれが、何かはわかりませんでした。

先生も、珍しケースだとおっしゃってました。

私が命を落とすこともあり得たと。

 

あれから25年が経過しました。

あれに会うことはありませんでしたが、この先も

もう会うことはない気がします。

 

もし“あの妖”が生きているようなら、

今の私では太刀打ちするのは難しいでしょう。

 

次世代に任せたいと思います。